特に最近は、日本人に大腸ポリープや大腸がんが増加してきています。今まで出血したことのない人が出血した場合は、単に痔と考えないで、もっと奥の大腸からの出血を疑って調べ、大腸の病気がないことを確認しておくことが必要です。
また痔のある人は出血に慣れていて、ともすれば大腸の病気の発見が遅れがちとなりかねません。大事にいたらないよう、2年に一度は大腸の検査をすべきでしょう。
では、痔を予防し悪化させないために、日常生活でどのような点に注意したらよいのでしょうか。
(1)便通を整える
痔は便の通り道、肛門の病気です。したがって日常生活で注意しなければならないのは、第一に便通を整えること、つまり便秘や下痢を防ぐことです。
便秘になると排便の際に強くいきむことになります。そうすると肛門を閉じるのに役立っている肛門の粘膜下部分に負担がかかり出血や脱出する、つまり痔核となってしまいます。また便秘は硬い便になりますが、硬い便は肛門を傷つけ肛門の外傷といえる裂肛となります。
下痢もよくありません。下痢は痔ろうの原因ですし、下痢便はゆっくりと出るのではなく、激しい勢いで出て、肛門に負担をかけ、痔核や裂肛の原因となったりします。
それでは便秘を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。
それには食物繊維の多い食材をとることです。食物繊維は体内で吸収されないので便の材料となり便の量を増やしてくれますし、水分を吸収して便が固くなるのを防いでくれます。食物繊維は、野菜や海藻類、芋や豆類、キノコ類などに含まれています。1日20~30グラムをめやすに、できるだけ多くの種類の食品から食物繊維を摂取するように心がけましょう。