いずれの方法も痛みを感じない部分の痔核、つまり直腸側の内痔核にだけ行うことが可能な方法です。慢性的に脱出したものや、硬くなったもの、大き過ぎや小さ過ぎる場合はできません。
痔核の程度が進み、内痔核が外痔核を伴って肛門の外に脱出するようになると、完全に治すためには手術が必要となります。下半身に麻酔をかけ、痔核に血液を供給している動脈を痔核の根元のところで縛り、痔核部分を放射状に切除する結さつ切除術が行われます。
従来は切除した傷口を開いたままにする「開放法」が行われていましたが、治るのに6週間ほどかかり痛みも長く続くため、最近は傷口をできるだけ縫う「半閉鎖法」が行われるようになりました。この手術法だと傷口は3週間ほどで治り、痛みも大幅に減少します。
・新しい治療法
ほかにも最近、痔核に対し新しい治療方法が試みられるようになりました。
たとえば、新しい硬化剤「ジオン」を用いた注射療法です。
ジオンの成分である硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸が、痔核への血流を遮断したり、炎症を引き起こし繊維化させたりして痔核を縮小させ癒着(ゆちゃく)固定させる方法です。今まで手術でしか治せなかった脱出する痔核に効果があるとされています。
このほかに器械吻合器(ふんごうき)を用いて痔核より奥の直腸を全周にわたって切除し縫合することで、脱出していた痔核を奥に引き上げる方法(PPH)も行われるようになりました。
この方法は痛みを感じる痔核部分は手術しないため痛みが少なく、外来でもできるという長所があり、行われるようになったものです。
いずれの方法も内外痔核が大きな場合には効果がない点、長期間経過後に治療効果が続いているか不明瞭な点、何かあとで障害が生じないか十分検討されていない点など、今後、さらなる検討が必要です。しかし痔核治療のよい方法となる可能性を秘めています。