診察について
診察を受ける日に
肛門科をはじめて受診するのに、特別な準備はいりません。 ただ一つだけ、診察を受ける上で是非とも知っておいていただきたいのは、「診察を受ける前には、排便を済ませておく」ことです。というのも、直腸に便が詰まった状態では、充分な診察ができていないからです。せっかく、一回の診察で済むところを、また足を運んでもらうことになりかねないのです。
ただし、下剤を服用したり浣腸をするのは間違いです。このような薬を用いると、直腸の粘膜まで刺激してしまい、炎症が起こっているかどうかの診察が難しくなってしまうからです。
ふだんから朝にスムーズな排便ができるように、睡眠を充分にとり、早めに起きて朝食をしっかりとるなど心がけて下さい。
問診
診察でまず行われるのは、問診です。問診には、先生から直接質問を受ける場合と、問診表に記入する場合とがあります。いずれの場合も、問診を参考に診断を進めていきますので、正確に答えられるようにしたいものです。 自分の症状をできるだけ整理しておきましょう。
痛み | 痛みがあるかないか、痛む場合はいつか、どの様に痛むかなど。 |
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出血 | 肛門から出血はあるか、ある場合はいつ・どのくらいの量で・どの様に出血するかなど。 |
脱出物 | 肛門から脱出物はあるか、ある場合はいつ・どんなときに脱出するか、それは自然に戻るか・指で押し込めば戻るか、それとも出っぱなしか。 |
腫れ・かゆみ | 腫れ・かゆみはあるか、ある場合は、どの部分でどの程度なのか。 |
分泌物 | 分泌物はあるか、ある場合はいつ・どこから・どんなものが出るのか。 |
便通 | 排便の回数、便の形状や硬さ、排便時間、残便感の有無など。 |
このほかに、既住歴や手術歴、家族の肛門疾患の有無、最近の大腸検査の有無などの質問もあります。
肛門の診察
診察室はカーテンで仕切られていたり、露出部分はタオルなどで少なくするなどプライバシーが守られる配慮がされています。診察台で体位をとってもらい、肛門の診察を行います。
診察は、目で見たり、指で触ったり、肛門鏡という器具を使って行います。
指で触る場合は、ゴム製などのサックを使います。潤滑油に麻酔作用のあるゼリーを塗るなど、痛みを与えないように色々な工夫がされています。しかし、患者さんが恐がったり力んでしまうと、診察が困難になり、時間が長くかかることもあります。
患者さんの協力
肛門に力を入れないように、リラックスして下さい。患者さんの協力が得られると、充分な診察ができますし、時間も短くて済みます。
X線検査や内視鏡検査が必要な場合は、日を改めて行います。注意事項をよく守って、検査に臨むようにして下さい。
説明
すべての診察が終わると、先生から病気についての説明があります。痔の種類や程度、これからの治療方針など、先生からわかりやすく説明していただけます。何か不安なことや疑問があれば、遠慮せずにきちんと先生に確かめましょう。
痔の治療で
一番大切なこと
痔は慢性病で、長くつきあっていかなければならない病気です。また痔は、「生活習慣病」ともいわれます。すなわち痔は、先生だけが躍起になって治そうとしても、なかなか治りませんし、再発することもあります。痔の治療で一番大切なこと、それは、適切な治療と、自分から積極的に病気を治そうとする患者さん本人の姿勢なのです。
ご注意:このページは一般的な知識や治療方法などをご紹介したもので、医療機関により大きな違いがあります。 肛門は大変複雑で繊細な部位ですので、信頼できる医療機関をご受診ください。
監修:岩垂 純一
(岩垂純一診療所 所⻑/医学博士)